R4.2.8(火) センチメンタル😭
19年前の研修医時代に配当された女性の患者さん。
近医で『ひどい歯周病なので全部抜いて総義歯』と宣告され、すがる思いで龍ヶ崎から松戸歯学部へわざわざ来院された方でした。
思いだけはあるけれど、重度のPと戦うには知恵も技術も全然足りない新米歯科医師の私は、とにかく見よう見まねの治療でただただ必死でした。
付き添いでいらしていたご主人様も、受診を希望して下さり、お2人の主治医なのに、私の方がお父さん・お母さんに歯科医師として育てて頂いた感じです。
その後、結婚・出産し、開業。
優しい女性の先輩Dr.にきちんと引き継ぎをして大学を退職しました。
ある日。
『ひまわり小倉千春』を探して探してお電話をくださいまして。
『先輩女性Dr.は本当に優しくて良い方だけれど、優しすぎてなんだか不安。良い物は良い、悪い物は悪いとはっきり言ってもらえないと物足りない。
龍ヶ崎からだと松戸も南千住も変わらないので、浅草に通ってはいけませんか?』と。
出会って19年。
田舎の無いウチの子ども達に芋掘りや野菜の収穫を体験させるために、広い農地にウチの子ども達用にたくさんの種類の野菜を毎年育てて待っていてくださいました。
学校の遠足の芋掘りはせいぜい1人2-3株だけど、お父さんの芋掘りは毎年1人1畝!
自家製野菜を使ったお母さんの手料理がハンパなく美味しくて、食べては収穫してまた食べての楽しい1日を毎年過ごさせて頂き、子ども達も龍ヶ崎のおじいちゃん・おばあちゃんが大大大好き❤
けれど、2022年1月にお父さんが80歳を迎えられ、以前から話していた予定通り、浅草への通院は今日が最後という事になりました。
片道3時間の通院は1日仕事で、最寄り駅まで車で行き、龍ヶ崎電鉄・常磐線、そして都バス。
『本当によくぞ浅草まで...』と毎回申し訳ないくらいありがたい思いで拝見させて頂いて来ました。
お母さんは19年間で抜歯3歯。
最初が最初なので、決して良い状態とは言えませんが、22歯残存。
総義歯にはなっていません。
お父さんは28歯残存。
根面カリエスとの戦いでしたが、なんでもご自分の歯でモリモリバリバリ食べられるそうです。
別れ際は3人とも真っ赤な目。
涙をこぼさないように笑って思い出話をして、お互いたくさんお礼を言ってお別れしました。
信頼出来る龍ヶ崎の先生をご紹介し、今日で主治医卒業。
娘のように可愛がって頂いたので、ものすごく寂しいけれど、お父さん・お母さんに出会えた私の歯科医師人生ってそれだけでもものすごく幸せだなぁとしみじみ感謝の気持ちでいっぱいです。